2010年08月

2010年08月24日

日本女子大学桜楓会支部で上映続く

原口鶴子さんは日本女子大学校(日本女子大学の前身)の3回生。同級に平塚らいてうがいる。鶴子は英文学部でらいてうは家政学部だった。少し後輩に高村光太郎の妻、智恵子がいる。また宮沢賢治の妹で、賢治に文学的な大きな影響を与え、若くして結核で亡くなったトシも日本女子大学校出身である。

とにかくキラ星のごとく女性の才能がひしめいていることが作品を作ってわかった。現在も映画関連だけみても岩波ホールの元総支配人高野悦子さん、東京国際女性映画祭のディレクター大竹洋子さん、科学映画の草分けで、昨年92才でお亡くなりになった中村麟子さん、若手のホープ海南友子さん…まだいらっしゃるかもしれませんが、とにかく、これまで女性が足を踏み入れてない分野に進んで行った女性に、日本女子大学出身者が多いことは確かだ。

日本女子大は映画製作で、資料をたくさん提供してくださった上、卒業生の新聞である桜楓新報(驚くことに、100年前にすでに存在し、鶴子さんもニューヨークから寄稿していた)に何度も作品を取り上げてくださった。また、全国の上映会でも、卒業生の会である桜楓会の会員の方々が誘い合わせて、たくさんご来場いただいた。そして、いまもまだ上映会を各地で開催してくださっている。

7月に終わった桜楓会三島支部の皆さんから上映会報告をいただいた。鶴子さんの著書『楽しき思い出』が17冊も売れて、会自体もとても盛況だったそうだ。心理学者の先生が、観たかったがどこでもやっていなかったが、まさか三島でやってくれるとは…、と参加され、心理学上の鶴子さんの話もしてくださったとのこと。

また、ニューヨーク上映会に参加できなかったニューヨーク支部の方から、DVDの問合せもいただいた。いつ観れるのか、会の皆様が心待ちにされているそうだ。とても嬉しい。100年前、たった一人でニューヨークへやってきた鶴子さんの気持ちをもっともわかるのがニューヨーク在住の皆様かもしれない。行くことがあったぜひ、お会いしてお話したいと考えている。

昨今、若者が日本を離れて海外で学ぶことにあまり関心がないとニュースなどで目にした。私自身、日本は大好きだが、やはり、海外にわずかだが出てみて自分自身の中で押さえていたものが発見でき、大きな人生の転機になった。鶴子さんは、留学で得たものをこれから日本の役に立てようとした矢先に亡くなってしまった、無念だったろう。まだ、彼女の足跡に不明なところが残って、気になっている。これからも鶴子さんの勇気と努力をを多くの人に知っていただくよう頑張っていくとともに、ニューヨーク生活で空白な部分を解明できたらと思っている。


2010年08月02日

エクレールお菓子放浪記製作発表!

暑い毎日が続く今日この頃。7月30日にようやく長編劇映画「エクレールお菓子放浪記」の製作発表会見があった。監督は『ふみ子の海』の近藤明男さん。シナリオは監督と、テレビでサスペンス物や時代劇を書いている西井史子さん、そしてわたし。わたしにとっては、長編劇映画シナリオデビュー作となるので感慨深い。

1昨年の暮にお話をいただき、自分のドキュメンタリー映画の上映活動をしながら、監督の事務所へ打合せに通い、改稿に改稿を重ねてようやく…。まだまだ何があるかわからないが、映画の応援組織も続々でき、なんといっても記者会見で公表したのだから、ほっとした。10月クランクイン、2011年5月に主な舞台となる仙台で先行試写をしたのち、6月に一般公開が決まっている。
この作品、東北、北海道で上映活動を行い、地道に配給組織を開拓してきた方々が中心となって、新しい上映形体に挑戦する試金石となる映画でもある。膨大な資金も自分たちで足を運びプレゼンしながら集めたそうだ。監督と上映組織の方々が、もう火花を散らしながら、ああだこうだ意見を交わし進めてきた。わたしは、ただただ作品と、監督の意図をどうシナリオに反映させようか、だけを考えればよかったので切り抜けることが出来た。監督はタフでないとできない。長編劇映画のスケールは大きい。関わる人の数も自分が演出してきたプロジェクトとは比べようもないほど多い。監督はどういうスタンスで大勢の人を動かして行くか…いいチャンスなのでじっくり学びたいと考えている。

映画は、敗戦の色がみえはじめた昭和18年前後から戦後の混乱までの話。脱走しては孤児院をたらいまわしにされていた孤児が、盗みをしてとうとう感化院送りに。そこで出会った保母さんから教えられた「お菓子と娘」の歌と、食べたくても食べられないお菓子への憧憬を心の支えに苦しい時代を生き抜く少年青春物語。後に作家となった西村滋氏の自伝をもとにしている。
あとは、見てのお楽しみ。時代的には日本の大変な時代の話だが、雪国の盲目の少女ふみ子をあんなに爽やかに、前向きに描き感動的な少女成長物語に仕上げた近藤監督のことだから、きっと、魅力的な少年物語にしてくれることでしょう。女性の方も必見ですよ。ナイスな少年にしましたから、って書いた本人がいうのもなんですが。ホント、自分自身、どんなのができるのかとても楽しみです